Iターン
単身移住
多寄地区で好きを形に。
さすらいの料理人がたどり着いた士別。
小澤 良太さん
Iターン
セカンドライフ
士別神社近く、丘の途中にぽつんと佇む、地域に愛される素敵なお店cotoriを営む堂高さんご夫妻に、士別に移住したきっかけや、士別での暮らしについて聞いてみた。
東京都出身の充子さんと千歳市出身の宏さんは長野県の乗鞍高原で知り合い、宏さんの転勤を機に士別市へとやってきた。
「元々自動車関係の仕事をしていて、士別に試験場ができたので念願かなってきました。」
宏さんは定年までトヨタ自動車で働いており、元々自然の近くでの暮らしに憧れもあったことから、士別市への移住は念願だったという。
「駅前の何もなさにびっくりしたし、正直ここで暮らすのかと…笑」
一方充子さんは、最初は全く知り合いもおらず、東京とのギャップに戸惑いを隠せなかったようで、不安を抱えていたという。
宏さんは移住後定年退職まで、トヨタ自動車の士別試験場で技術職として働いた。一方充子さんは移住当初、何にもやることを見つけられずただ宏さんの週末のテニスの試合を見に行くだけだったという。
そんな中で、いつも通りテニスを見ていたところ、宏さんのテニス仲間の保健師さんから役所の保健課でパートしてみないかと誘いを受ける。短大の食物学科出身で、料理教室等で働いていた充子さんは、栄養士の資格を持っていたため白羽の矢がたったのだ。
「妊娠と出産が重なっちゃって、1年弱しか働けなかったけど、そこでやっと人とのつながりができた。栄養士として市内を回る中で知り合いも増え、土地勘もついてきて、だんだん暮らしを楽しめるようになりました。」
見ず知らずの場所に来た移住者にとって、どこで誰とどのように繋がるかは重要で、夫の転勤についてきたというパターンでの苦労は想像に難くない。ここで人と知り合うことが生活を豊かにするということを身をもって感じていたからこそ、cotoriも出会い繋がることを大事にしているのだろう。
その後宏さんは変わらず試験場で勤務を続け、充子さんはお子さんが大きくなったときに塾を始めた。10数年塾を続けたのち、現在のcotoriの近くに当時あったパン屋さんでアルバイトを始める。これが現在のお店の形態に大きく影響しているという。
「夫の定年の後、自分でお店をやりたいなって思って、その中でパン屋さんでのアルバイトをすることに。」
このパン屋さんは充子さんがアルバイトを始めて2年で閉店してしまうが、ここでパンの技術を身につけたことで、現在cotoriはカフェとしてだけでなく、パン屋さんとして地元に愛されるお店になっている。
「ただゆっくりとお茶できる喫茶をやりたかったのだけど、せっかく身につけたパンの技術を生かさないのは勿体無いと夫に言われて…笑。でもそのおかげで今は地域の人がたくさん買いに来てくれるからやってよかった。」
現在のcotoriがオープンしたのは2016年の11月。当初は士別から離れて、他の場所で同様のお店を開くことも考えていたというが、ここでも人との出会いがきっかけで士別でのオープンを決断するに至った。
「お店をやる場所を探しているときに、近隣の市町村で素敵なお店をやっている人たちに出会ったの。それでこの場所でもできるかもと思えて、ついに場所を決めて店舗兼住宅を建てた。」
士別に店を出すことを決めたのも、やはり人との出会いが大きかったと語るお二人。
「士別は季節がはっきりしていて、緑がきれい。人との距離もちょうどいいし、何よりキャンプやスキーが好きだから、それを低料金で楽しめるのは魅力だね。」
元々自然が近い暮らしに興味があった宏さんは、広大な自然と山、スキー場の近さが士別市の醍醐味だと語る。お子さんが小さい頃は家族でいろんな場所にキャンプに行き、夜な夜な星を見ながらコーヒーを楽しんでいたという。北海道の雄大な自然が織りなす贅沢な時間を満喫していたのだろう。
最後にcotoriの未来について尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。
「パンはオーブンが壊れたらおしまいにするつもり。その後はおにぎりでもやろうかな。大切にしたいのは何を出しているかじゃなくて、人との出会いとつながり。顔を見てお話ができる関係性を続けていけるお店をやっていきたい。」
cotoriはまさにこれを体現しているお店。いつ行っても心地よい笑顔で出迎えてくれ、コーヒーと地元産の食材で作ったパンやカレー、リゾット、スープなどで心もお腹も満たされる。店名の通り外には小鳥がやってくる。窓辺の景色を望みながらゆっくり過ごすのもいいし、堂高さんご夫婦やそこに集まる地域の方とのおしゃべりを楽しむのもまた贅沢な時間。
最後に宏さんがこんなことを言っていた。
「パンの仕込みは朝早くて、夜中のうちから動いていたりする。僕がパンもやったらと言ったからなんだけど、本当に充子の頑張りには感謝しかない。」
この言葉を笑顔で聞いていた充子さん。2人がお互いを支え合いながら、リスペクトし合いながら作られているお店だからこそ、そこに集まる人の気持ちは落ち着くし、またいきたいお店になるのだろう。
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